ふぃがろ的オペラ考察3
ビギナーお勧め度





イル・トロヴァトーレ

[Il Trovatore]

ハチャメチャだが全て音楽でカヴァー!!
ヴェルディの力技って奴ですか!!

注:このオペラ、筋が理路整然としていないと
我慢できない方にはお勧めいたしません。




主な登場人物
ルーナ伯爵 アラゴン公に仕える貴族。
レオノーラを我が物にしたいと狙っている。
レオノーラ アラゴン公夫人付きの女官。
馬上試合で見初めたマンリーコに一目ぼれした。
マンリーコ 吟遊詩人。ジプシー女の息子として育てられる。
アラゴン公と敵対するビスカヤ公に仕官している。
アズチェーナ 昔、先代のルーナ伯爵に母親を処刑された。
その復讐としてルーナ伯爵の息子をさらい、その後・・・・・・・・



よくある話・・と言えばそれまだが、
敵対する陣営の中にあって恋をする男と女
しかもまだアズチェーナしか知らないことだが
その恋を邪魔するのは血を分けた兄。
渦巻く三角関係と秘められた血縁関係により
その愛の行方は?そして母の想いは?



ふぃがろココを聴いてよ!!


第1幕 第2場  三重唱

吟遊詩人であるマンリーコは愛するレオノーラのためにセレナーデを歌う。
レオノーラは、外に出てそこにいた男に抱きつくが、なんとそれはルーナ伯爵。
なんと暗がりのためにマンリーコと間違えたのだ (そんな馬鹿な・・・・)
それを見たマンリーコは"Infida!!"(不実な女め) と叫ぶ。
このほとんど茶番とも思えるシーンが、ヴェルディの音楽によって昇華される



第2幕 第1場 アンヴィル・コーラス〜炎は燃えて

オペラ合唱曲の中でも名高いこのアンヴィル・コーラスは第2幕冒頭。
ジプシー達が朝を迎え、これから仕事へ行くのだと歌う。
そのジプシーの中にアズチェーナの姿もある。アンヴィルコーラスが終わると
アズチェーナは母が火あぶりにされた様を思いだして歌う。彼女の目はうつろだ。

他のジプシー達が去り、親子2人になると、話の続きが語られる・・・
アズチェーナは母の復讐に伯爵の子を盗み出し、火に子供を投げ込むが
あとからそれは伯爵の子ではなく
"il figlio mio"自分の子と取り違えてしまったという。
なんと恐ろしい話だ・・・・がしかし、では自分は・・・自分はお前の子ではないのか?
うっかり真実を話してしまったアズチェーナだが、マンリーコの疑問に
「時々おかしくなるだけだ・・・私がお前の母でないわけがないだろう・・」と弁解する
(落ち着いて考えればわかりそうなものだが・・・・これもお約束か・・・)



第2幕 第2場

マンリーコは死んだとの誤報を信じ、修道院に入ろうとするレオノーラ
そんなことをさせてなるものかとルーナはそれを阻もうと待ちかまえる。
尼僧達の手からレオノーラを奪い取ろうとしたその時、
死んだはずのマンリーコが登場し、一同驚愕。合唱を交えたこのシーンは見事だ。
マンリーコはレオノーラを奪取することに成功する。



第3幕 第2場
もうすぐこの城は攻められるだろう・・・というマンリーコ。"Ah! si, ben mio"
たとえ死んでも想いはあなたに届きほんの少し先に逝くだけだと思えるでしょう。
その時、礼拝堂からオルガンの調べが・・・・これが二人の婚礼。
透明な響きを割ってルイスがアズチェーナが捕らえられたことを報せる。
マンリーコは激怒し「見よ、恐ろしい火を」"Di quella pira l'orrendo foco"を歌う



第4幕 第2場
マンリーコがアズチェーナと共に捕らえられている。
アズチェーナは昔を思い出し、山へ帰ろう・・・と歌う。
そこへレオノーラがマンリーコの命を救おうと飛び込んでくる。
レオノーラの登場に一瞬喜ぶが、簡単にこんな所へ入れるわけはない
逃げろと懇願するレオノーラにマンリーコは「さては私を裏切ったな!!」
確かにレオノーラはルーナのものになると約束はしたが、既に毒をあおっていた
説得に応じないマンリーコ、そのうちにレオノーラには毒が回り・・・・・
ルーナはレオノーラに図られたことを知ると、怒ってマンリーコを処刑させる。
アズチェーナが止めにはいるが聞く耳など持たない。
その時、今まで明かされなかった秘密を口にする

マンリーコこそ、お前の弟。母さん、復讐を遂げたよ!!

アズチェーナは「復讐を遂げる」ということで保っていた正気を
愛するマンリーコの死によって最後の線が切れてしまったのだろう。
復讐を遂げたと口にしながら、アズチェーナの心はどんなものだっただろうか?










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