第321回 日曜地学ハイキング記録
日曜地学ハイキング記録

荒川の上流域から中流域をたどる




第321回日曜地学ハイキングを平成10年8月22〜23日に実施しました。
礫の変化を追いながら、荒川の上流域から中流域までの主な河原を2日間かけてバスで巡りました。主に石の種類や大きさを調べながら、その礫の供給源を考え、河原の周囲の地層を観察しました。


8月22日  秩父鉄道 三峰口駅 改札前 午前8時53分集合
        解散は、23日 熊谷駅 午後4時過ぎ


今回の見学コースの概要は次の通りです.
コースの概要;三峰口〜川又〜大輪〜日野鷺橋〜さくら橋〜宿(小鹿野梁山泊)
         宿〜長尾根〜玉淀ダム〜正喜橋〜荒川大橋〜熊谷

1.川又(大滝村) 礫調査と四万十累層群の観察
2.大輪(大滝村) 河原の礫と秩父層群の観察
3.日野鷺橋(荒川村) 河原の礫と第三紀層の観察
4.さくら橋(秩父市) 河原の礫と第四紀層の観察
5.長尾根展望台 盆地の地形の観察
6.玉淀ダム(寄居町) 礫調査と結晶片岩の観察
7.正喜橋(寄居町) 石英片岩・河原の礫の観察
8.荒川大橋(熊谷市) 河原の礫の観察


荒川流域の地質
 埼玉県の地形は西側の秩父山地と東側の埼玉平野に分けられます。秩父山地はさらに、奥秩父山地上武山地外秩父山地の山地部と山中地溝帯秩父盆地の凹地部に区分されています。
 荒川は、甲武信岳(2745m)を源流とし、奥秩父山地を東方に流れ、秩父盆地で北東に向きを変え、上武山地と外秩父山地を境しながら埼玉平野へと流れ下っています。そのため荒川河原で見られる礫は、秩父山地に分布する地層や岩石と深いかかわりをもっています。


宿舎での観察のまとめ会


奥秩父山地

 荒川流域にあたる奥秩父山地は、中生代(ジュラ紀〜白亜紀の四万十累層群;この地域では大滝層群という)と中・古生代(二畳紀〜ジュラ紀の秩父層群)の地層よりなっています。この二つの地層は仏像構造線で境されています。
 ジュラ紀〜白亜紀の四万十累層群は、山地南西部の入川、滝川、大洞川など荒川源流域に分布しています。粘板岩・千枚岩砂岩を主体とし、礫岩・石灰岩・チャート・塩基性火山岩類も見られます。
 二畳紀〜ジュラ紀の秩父層群は、山地北東部の中津川ー両神地域に分布しています。
 これらの地域には、中津川上流域の秩父鉱山付近や奥秩父県境尾根付近に花崗岩類とそれに伴う接触変成岩(ホルンフェルス)の分布が見られます。花崗岩類のへい入時期は、新第三紀の前〜中期中新世と考えられています。秩父鉱山の石英閃緑岩の年代測定(通産省資源エネルギー庁;1975年)によると約5百万年前の年代と推定されています。

秩父盆地

 秩父盆地には、新生代新第三紀中新世の地層が東西13〜15km・南北10〜13kmの範囲で分布しています。礫岩層・砂岩層・泥岩層とそれらの互層よりなり、全体に南東に向かって上位の地層が分布しています。
 まわりの秩父層群に対して、北縁で不整合、南縁で断層、西縁で一部断層・一部不整合で接し、東縁では三波川結晶片岩と断層で接しています。
 秩父盆地内には、第四紀更新世の河岸段丘(尾田蒔丘陵=長尾根、羊山丘陵)が発達しています。

山中地溝帯

 山中地溝帯は、秩父層群の地質構造の一般方向にそって北西ー南東にのびる地溝状の凹地帯で、埼玉県下では、志賀坂峠付近から小鹿野町まで幅2〜3kmにわたって分布しています。
 主に白亜紀の地層からなっていて、砂岩・泥岩・礫岩を主体としています。

上武山地

 上武山地には、三波川結晶片岩類・御荷鉾緑色岩類・秩父層群が分布するほか白亜系の小分布も見られます。
 三波川結晶片岩類は再結晶作用によってできた変成岩で、主に泥岩や砂岩を源岩とする黒色片岩、塩基性火山岩類を源岩とする緑色片岩、チャートなどを源岩とする石英片岩などよりなっています。なかでも変成度の高い結晶片岩類では、その中に径数mmの曹長石の斑点が見られ、点紋片岩と呼ばれています。
 御荷鉾緑色岩類も変成作用によってできていますが結晶片岩類に比べて変成度が低いため源岩の組織をよく残しています。源岩は塩基性火山岩類やはんれい岩などで、濃緑色〜淡緑色をおびたゴツゴツした岩石です。
 また、これら変成岩類の地域では、しばしば断層沿いに蛇紋岩がレンズ状に分布しています。金崎付近(出牛ー黒谷断層が荒川を横切る地点)の蛇紋岩がよく知られています。
 秩父層群は、淡緑色珪質岩・チャート・塩基性火山岩類・粘板岩・砂岩などを主体とし、柏木層・万場層・上吉田層より構成され、全体として南に、より上位の地層が分布しています。
 白亜系の小分布がこの山地の東方にみられます。主に礫岩・頁岩・砂岩からなり花崗岩や変成岩の小さな岩体もみられます。周囲の三波川結晶片岩類・秩父層群・秩父盆地の新第三系などとは断層で接しています。群馬県の下仁田地域に分布する跡倉層と層相が似ていることから跡倉層と対比されています。

外秩父山地

 外秩父山地には、三波川結晶片岩類・御荷鉾緑色岩類・秩父層群が広く分布しているほかに、山地北部には上部白亜系・花崗岩類・新第三系の小分布もみられます。
 三波川結晶片岩類や御荷鉾緑色岩類は上武山地と同じ岩相の岩石がみられます。秩父層群では、チヤート・砂岩・粘板岩を主体とし、石灰岩や塩基性火山岩類などを伴っています。
 白亜系は、栃谷の南から小川盆地にかけて栃谷層、寄居町木持付近に分布する木持層があります。岩相はいずれも、礫岩・砂岩・泥岩とそれらの互層からなっています。
 花崗岩類は、寄居町の車山から金勝山にかけて分布する石英閃緑岩や正喜橋付近から東南東へ細長く分布する石英斑岩があります。
 新第三系は、中新統の最下部層にあたる寄居層で、石英斑岩の礫を含む礫岩を主体としています。


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