第326回 日曜地学ハイキング記録
日曜地学ハイキング記録



第326回日曜地学ハイキングを平成11年3月21〜22日に実施しました。
 中生代の地層というと秩父中古生層もそうなのですが、恐竜やアンモナイトといった中生代の生物たちの姿を連想させる場所は、埼玉県付近ではなんといっても小鹿野町から群馬県中里村、長野県へと細長く帯状に続いている山中地溝帯です。  第326回は、1泊でこの地を訪れました。山中はタイトルの「春浅き−」のとおり前日からの雪が降り積もり、さらに3月21日の午後からは雪が降りしきる中の真冬のような状態での見学になりました。


3月21日  西武秩父駅 改札前 午前9時集合
        解散は、22日 同駅 午後5時頃


今回の見学コースの概要は次の通りです.
コースの概要;西武秩父駅〜小鹿野経由〜瀬林(間物沢の地質)〜宿(小鹿野梁山泊)
         宿〜瀬林(一瀬林化石)〜中里村恐竜センター〜西武秩父駅

持ち物;弁当、筆記用具、雨具、ハンマー、軍手、新聞紙、ビニール袋、防寒着
参加費;100円
案 内;武井 硯朔氏



山中地溝帯周辺の地質
 山中地溝帯とは秩父盆地の北西隅から、西北西方向に長野県佐久市まで続いている細長い白亜系の分布する地域をいいます。そして、南と北にある秩父中・古生層の間断層によってはさみ込まれた「地溝」状をしているので、この名がつけられています。
 ここに分布する白亜系は、主に泥岩・砂岩・礫岩からできていて、礫岩の中には花岡岩や片麻岩が含まれていることもあります。化石は西部の方に多く産し、埼玉県下ではあまり豊富には産出していません。その中には、二枚貝・巻き貝・アンモナイト及び植物化石があり、これから見ると山中地溝帯の地層は、おもに白亜紀前半に形成されたものです。
 山中地溝帯の地質構造は、大きく見ると地溝の延長方向に平行な軸を待った向斜構造をしていて、地構帯の中央部に 上位の地層があり、両側の断層に接する部分に下位の地層が分布しています。また延長方向では、向斜軸が東南東に傾斜していて、地溝帯の東部に上位の地層が、西部に下位の地層が広く露出しています。


ポイント・行程と観察内容

 1日目。西武秩父駅から案内の武井氏の話に白亜の海を想い描きながらバスに揺られ、まず最初についた見学地では、ほぼ垂直に立っている地層を見て、関東ローム層や秩父盆地などの水平に近い地層との時間差を感じる事ができました。
 バスが埼玉県と群馬県の境いの志賀坂峠を越えると、群馬県側は雪が一段と多くなり、山が深くなった感じを受けました。バスは国道299号線を中里村の神流川近くまで下り、そこから本格的な観察の開始です。山中地溝帯の地層は、古いものから石堂層・瀬林層・三山層という区分がされているのですが、今回観察した間物沢では、下流から上流に向かって次第に新しい地層を見ていくことになりました。
 バスを降りた一ノ瀬橋付近に分布している地層は、一番下の石堂層です。雪の残る沢へ降りてみると、とても硬い砂岩と、チャートのとても多い礫岩を観察する事ができました。また、石堂層は山中の地層の中でも一番豊富に化石を含んでいるもので、アンモナイトやトリゴニアの姿を頭の中に浮かべながら化石探しをしましたが、降りしきる雪と、濡れて見ずらい岩石の表面の様子に阻まれて、大発見はありませんでしたが、ウニといくつかの貝化石を見つけることができました。
 次のポイントは有名な瀬林の漣痕です。この漣痕に残っているたくさんの穴が恐竜の足跡ではないかと指摘されているものです。武井氏の説明を聞きながら、白亜紀の浜辺を歩く恐竜の姿に想像が広がりました。
 昼食の後は、瀬林層と三山層の観察をしました。瀬林層の中に含まれる礫岩層はとても見事なもので、礫として含まれるカコウ岩類や緑色凝灰岩などに興味が集まりました。  この日の最後の観察となった三山層の露頭では、互層の中の級化層理から地層の上下を判定しました。
 夕食後の学習会は、案内の武井氏の調査での思い出から山中地溝帯の地質構造まで幅広い話があり、質疑も白熱して、予想通り?予定の時間をオーバーしてしまいました。
 2日目。前日から降り続いていた雪はやみ、青空でした。
 この日の最初の観察は秩父盆地の第三紀層と山中地溝帯の地層が不整合で重なっている「犬木の不整合」です。不整合で覆っている第三紀層の基底礫の礫種は砂岩がとても多かったようです。
 犬木の整合を観察した後は、志賀坂トンネルの入口付近から、地溝帯の地形を観察しました。また、近くの二子山も雪をかぶり、とても美しく見えました。
 次は、昼食をかねて、神流川沿いにある「恐竜センター」での見学となりました。ここではゴビ砂漠で発掘されている恐竜の骨格標本や発掘の様子などが紹介されていて、さらに、実際にゴビ砂漠から送られてきた化石をクリーニングしているところも見ることができました。常設展示では、山中から発見される化石も見ることができました。
 最後のポイントは初日に化石を探した場所へ戻って、再チャレンジです。前日に比べ条件もよく、化石の様子もわかってきたためか、多くの人が何らかの化石を見つけることができたようです。トリアゴニアの化石も見つかりました。
 大荒れの天気で、観察さえも心配された2日間でしたが、最後にお土産もできてまずは良かった。




ハイキング記録『ホーム』へ戻る