Led Zeppelin BBC Liveの謎

 97年に発売されたLed ZeppelinのBBC Liveは、好調な売れ行きを示し、
BBCが本格的に所有している音源をCD化することを決定させるに至りました。
 さて、このライブは既に何度かNHK FMで放送されています。それらの放送を
二度録音しています。それらの録音の内容と発売されたCDとを比較してみると、
収録曲の間に次のような違いがあります。この違いを比較してみましょう。
比較の対象は、'71年1月4日に放送されたものについてです。

・発売されたCD(Disk2)
 ライナーには、'Unedited'と記載されています。この音源は、BBCから一定の時間だけ
オリジナルマスターテープを借り受け、それをデジタルでコピーしたものをマスターと
しています。理由は、送られてきたテープが不満であったからとのことです。
そして、そのデジタルマスターテープを新たにミックスダウンしてこのCDは完成しました。
このCDを聴いてみると、全ての楽器はセンターにかなり集中して、定位しています。
Guitar(J.P.)はセンターのやや右側にVocal(R.P.)同じ位の前方に位置します。
Bass&Key(J.P.J.)はセンターのやや左側の後方に定位しています。Ds(J.B.)はセンターの
後方に定位しています。この位置関係は、ジャケットの演奏写真と一致します。J.P.は
当日の楽器配置を考慮してこのようなミックスダウンを行ったのでしょう。しかし、
なんだかMONOのような定位です。エコーは後でかけられたものと思われますが、これは
左右いっぱいに広がります。周波数特性はハイ上がり気味なので不向きです。

# このCDは、上記の理由からオーディオチェック用に向いているのではないかと思います。
# ほぼ中央に集中していますから、各楽器の分離度をチェックするには最適です。また、
# 各楽器が前後にも定位していますから、奥行き感のチェックも可能です。そして、
# 左右いっぱいに広がるエコー成分は、解像度のチェックに使えます。これらは非常に
# 厳しいものですから、かなりのレベルが必要です。このCDがMONOにきこえたらあなたの
# 装置は要チェックです。

 収録曲目は次の通りです。*印は'Not Transmitted'と表記されているものです。
+Immigrant Song
+Heartbreaker
*Since I've Been Loving You
*Black Dog
#+Dazed And Confused
#+Stairway To Heaven
#+Going To California
+That's The Way
#+Whole Lotta Love(Medoley)
*Thank You
*Not Transmitted(EC) #Not Transmitted(JP Description)

 この曲順は、ライナーを信じるとこの通りと考えて良いのでしょう。
時期的には、IVの発売前後なわけですから、このアルバムからの曲が、未消化
であるのは仕方ないのかもしれませんが、Black Dogが放送されなかったのは
プロモーションの意味合いからすると、不利であったでありましょう。
MixからMasteringに関しては、Jimi Pageが関与していますから、彼のイメージや
考えが色濃く反映されていることは間違いないでしょう。周波数特性に関しては
少し疑問(彼の耳の特性が劣化している?)があります。歪みが多いのも残念です。
Whole Lotta Loveは13分代の演奏時間になっています。
(1998.5.18)
 JP盤の裏を見ると、曲目のところに収録日時や放送日時が記載されています。
しかし、それが本国盤と一致しないのです。たとえば、Disk2で'Not Transmitted'と
なっている曲は、上の'#'のものです。一致もしていませんが、これが本当なら
その放送はつまらないものであったでしょう。

+1984年の放送
−印は、CDに収録されていないもの。
+Immigrant Song
+Heartbreaker
+Black Dog
-Communication Breakdown
+Stairway To Heaven
+Whole Lotta Love(Medoley)
+Going To California
+That's The Way
-What Is And What Should Never Be

 1984年にBBC Liveの放送がNHKで行われました。(PF,Zep,King Crimson,Police(?),Roxy Music)
また、カセット片面(約45分)には収まらない内容ですが、途中の曲である'That's The Way'
が反対面に収録されています。(途中でテープ切れ)リアルタイムの録音ではこのようなことは
不可能ですから、この録音は、一旦VCRに録音したものをカセットに編集したものと思われます。
1時間番組ですね。この時は、5夜連続で放送されました。
 このときの司会は渋谷陽一氏でありました。彼は熱狂的なZepファンですから
妥当でありましょう。かなり興奮気味にしゃべっていた様に記憶しています。Zepのライブ
というと、音も演奏も良くない海賊盤か'Song Remain The Same'しか聴いたことがなかったので、
彼らの演奏能力に関しては、疑問を感じていました。しかし、この放送を聴いたときは
正直言って驚きました。すさまじいパワーと見事な演奏力ではありませんか。これを
正規盤にして発売した方がどれほど良かったことでしょう。(後に発売された)
 さて、録音に関してですが、こちらははっきりとステレオと認識できる定位と
なっています。G.P.は左に、J.P.J.は右にいます。R.P.とJ.B.は中央です。前後の情報は、
不明です。(デッキのモニターで聴いただけ)ステレオ初期の定位という感じですが、
エコー成分もふんだんに入っています。J.P.がこの定位に不満であったかどうかは
不明ですが、ステージの状態とは異なっているようです。CD-R化に際してはL/Rを逆に
しました。これ以外の録音では、G.P.は右に、J.P.J.は左にいますから、録音時に逆に
接続してしまった可能性もあります。また、G.P.とJ.P.J.はそれぞれの側と、中央付近に
定位が変わるときがあります。マイクがそのようにセッティングされているのか演奏者の
動きに合わせているのかは不明です。
 演奏曲に関しては、CDに収録されていない2曲が含まれています。CDではDisk1に
収録されているからという理由でカットされたのかもしれません。それなら、Dazed And Confused
という気もしないではないのですが。また、曲順が一部異なっていますね。日本であえて
曲順を変えたとは考えにくいのですがどうなんでしょう?時間の関係でカットされた曲が
あるのは仕方ないでしょう。CDでカットされている2曲も完全にステレオですから
69年の古い音源ではありません。Whole Lotta Loveの演奏時間は10分程度の長さになっています

・1996年8月20日の放送
−印は、CDに収録されていないもの。
+Immigrant Song
+Heartbreaker
+Since I've Been Loving You
+Black Dog
+Thank You
-Communication Breakdown
+Dazed And Confused
+Stairway To Heaven
+Going To California
+That's The Way
-What Is And What Should Never Be
+Whole Lotta Love(Medoley)

 これが放送されることを知ったのは、その直前でしたので、とりあえず手持ちの
機材でエアチェックに望みました。録音機材の関係からカセットテープへ録音を
しました。このころはDATを買っていなかったのです。片面45分のテープですから
実際の録音には支障を来しました。上記のSong Listの通り、2時間枠の放送であった
のですから、全曲の収録は無理でした。'Dazed And Confused'が途中で終わってしまったのは
まだ不幸中の幸いでありました。この後、DATを買いました。
 2時間枠での放送ですから、NHKにある音源は全て放送されたものと思います。
定位は、80年代の放送と同じで、左右に振られています。しかし、前回の放送に比べて中央よりの
場合が多くなっています。ソースが異なっている可能性があります。放送の度にBBCから音源を
取り寄せているのでしょうか?曲順は80年代の放送とも
異なっています。CDの曲順と比較しますと、'Thank You'以外はカットされた曲を
除いて順番は変わっていません。これは全体の構成から考えて入れ替えられた
可能性があります。司会は、ピーターバラカン氏でした。
Whole Lotta Loveの演奏時間は20分あまりもあります。一度終わった感じになって
拍手が入りますが、その後また演奏を再開して最後はWhole Lotta Loveのフレーズに戻って
終わります。CDでは一旦拍手が入るところで終わらせているようです。

・1998年4月9日の放送
−はこのシリーズではない音源
+Heartbreaker
+Immigrant Song
-What Is And What Should Never Be
-You Shook Me(M)
-Whole Lotta Love(Medoley)

 最初の2曲がこのIn Concertの音源と思われます。定位は左右にばらけています。
メドレーで連続している2曲をわざわざ曲順を代えたのかは不明です。曲が終わると
すぐにフェイドアウトされています。

[それでなにが謎なの?]
1.CDに収録されなかった2曲の謎
2.BBCの放送とCDとの定位の違いの謎
3.Whole lotta LoveはCDでは完奏していない
4.NHKでの放送での曲順が違うことの謎
5.NHKでの放送ごとに定位が違うことの謎
6.本当に放送されなかった曲はどれ?
7.JP盤とEC盤とのデータの違い方の謎

 ということで、BBC LiveのCDではおそらく全てのトラックが収録されたということは
ないのでしょう。曲順に関しては、96年の放送の曲順で、'Thank You'が最後にくるのが
正しい(?)曲順ではないかと思います。定位の違いに関しては、BBCのテープでもさほど
問題にするレベルではないかと思います。
 追加です。演奏時のG.P.とJ.P.J.の定位が移動すること。動きに合わせてというよりは、
急に動く感じです。Bassに関しては、低音部が中央に、高音部が左側に定位する場合もあります。
マイクがそれぞれ2本ずつ配置されているのでしょうか?
 なんだか要領を得ない結論ですが、録音したテープの内容もそれなりに価値はありそう
なので、CD-R化しておきましょうということでした。m(_)m
(オチがないやんけ!!)