ライアー(竪琴)の音色


ライアーの音色を分析しますと、面白いことがわかります。
efu氏製作のフリーソフト「高速リアルタイム スペクトラムアナライザー」 WaveSpectra を用いて楽器の音色の特徴を調べます。 efuさんのページ

まず、ギターの音です。
ギターのサンプル (クリックすると音を聴けます)の第一音の部分のスペクトラムです。
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基音に対し、倍音成分が大きいことがわかります。

次にバロックヴァイオリンの音色です.
ヴァイオリンのサンプルで フレーズの最後の音の出た瞬間です。
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高次の倍音成分が減衰していることがわかります。
基音の上(右側)にしだいに小さくなっていく山が3つあり計4つが並んでいます。 これらは整数次倍音ではなく、濁った響きになります。

ライアーの音色です。
これもライアーサンプル でフレーズの最後の音です。
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基音に対する倍音が見られ,高次になるにしたがって減衰しています。 ヴァイオリンに比べ、基音の整数倍の倍音が多く、基音のすぐ上の山はヴァイオリンより小さくなっています。
また、減衰の仕方がヴァイオリンより急です。こうした倍音特性は、「穏やかな音」という印象につながります。

最後に声です。 クレッシェンドの部分とデクレッシェンドの部分でスペクトルの質が異なります。 声のサンプル で歌詞は

To tear my side open and save my baby

と歌っています。 クレッシェンドは my right side の「 my 」の部分、デクレッシェンドは最後の「 baby 」のイを伸ばしている部分です。
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クレッシェンドの部分では、倍音成分が基音より強くなっています。

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それに対し、デクレッシェンドの部分では、基音の整数倍倍音が綺麗に減衰しています。
これらのサンプルを見ると、音には2つの傾向があることがわかります。 つまり、
  1. 基音に対して倍音成分が強いもの
    例としては、ギターのアタック音、やや張り上げた声。
  2. 基音の整数倍音が綺麗に減衰しながら連なっているもの
    例としては、ライアーの音色、落ち着きを持った声。
基音に対し倍音成分の大きい音には強い刺激を感じます。 それに対し、倍音成分が減衰している音には穏やかな印象を受けます。
このように、刺激の強い音、安らぎを与える音にはそのスペクトルにも特徴があり、ライアーの音は典型的な安らぎ系のスペクトルを示します。