玉井ゆうき メジャーデビュー計画

"恐山" 恐るべし!

いつも年末になると東北に行ってるんやけどね。
どうしても夏じゃないと行けない場所があり、
そのためだけに片道1,300kmの道程をクルマで北上。
恐山に着いたのは8/15やけど、実際の『旅』は8/12の夜からスタート。
しかし、恐山以外は飲食浴してただけで・・・・・。


下北半島のちょうど真ん中あたりにあります、恐山。
山の名前というわけじゃなく、いくつかのお寺や湖なんかをひっくるめて
『霊場恐山』ということになるようです。
詳しいコトはこちらをどうぞ。

ココに来る前日(8/14)は、ひどい二日酔いでずっと寝込んでました。
昼間はほとんど何も食べられず、夜に温泉に入ってようやく歩ける程度に回復。
1日中寝てたくせに、温泉から出てお鮨を食べたらまた眠くなり・・・・。
で、8/15の朝は元気ハツラツの早起きバンザイ。
青森湾のイチバン深いトコにある浅虫温泉から恐山に向けて出発。
だいたい100kmくらいですかね?
けっこう道がすいてたんで、9時半頃に現場付近に到着。

峠道をクネクネと走って行くんやけどね。
近付くにつれて道端のお地蔵さんの数がだんだん増えていったり、
山からの湧き水汲み場が出てきたりと、ドンドンそれらしい雰囲気になってきます。
そして、峠を抜けてスカッと見晴らしがよくなった場所に、ドーンとイッパツめの驚きが出現。

宇曾利湖が見えたと思ったら、強烈な温泉の硫黄臭が。
こうなると温泉好きはジッとしてられません。
道からはずれて湖岸へ。

宇曾利湖自体は、ものすごい透明度の真っ青な湖で温泉の匂いはしません。
そこに流れ込んでいる小さな川に秘密が。

写真ではわかりにくいんやけど、川底にはびっしりと湯の花が沈澱しています。
水にさわってみたけど、べつに熱いことはないです。
フツーの冷たい川の水温でした。
恐山には何種類かの温泉があることを聞き、なんだか強烈な効能というか御利益がありそうで来たんやけどね。
この川の匂いと雰囲気でグーンと期待が高まりましたよ。

この温泉川のトコからもうちょっと走ると、川がもう1本あり赤い橋が架かってます。

小さい川なんやけど、水がものすごく透き通っていてそれがまた不思議な雰囲気。
さらにその川から宇曾利湖に向かって木の杭が一直線に続いていて・・・・・。

なにか意味があるんやろね。
ずーっと続いてます、杭が。
 

この赤い橋からもうちょっと進むと、霊場 恐山の入口に到着。
アイスクリームの屋台とお土産の売店と食堂が駐車場にあります。
朝から何も食べてなかったので、食堂で蕎麦をいただく。
アイスクリームも気になったけど、それは帰りにでも。

入口横で入山料500円を払い、いよいよ霊場 恐山へ。

いわゆる"入口"にあたるのが『総門』で、写真のうしろに見えるのは『山門』とのこと。
この山門を抜けると、はやくも温泉が。

こんなこと言ったらバチがあたりそうですけど、写真でみたとおりの粗末な小屋です。
参道をはさんで反対側にも同じような小さな小屋があり、
男湯がふたつ、女湯がひとつという構成。
ちなみに泉質は、どれも同じかなという印象。
嫁さんの話では女湯はぬるかったそうですが、男湯はけっこうな熱さでした。
ものすごい量の湯の花で白濁した本格的な温泉。

木戸を開けるとのれんなどの目隠しもなく脱衣所があり、
その奥に湯舟が2つ。
真ん中の雨樋みたいなトコから源泉が出てます。
先に入ってた常連っぽいオジサンの話では、雨が降ると温泉の出が良いらしい。
ちなみに3日前はチョロチョロしか出てなかったらしいです。

湯治場みたいな温泉なので、ココで体を洗ったりする人はいません。
硬派な温泉通か、ホントにどこか体の悪い部分を治したい人が立ち寄る温泉。
しかし、マナーをわかってないオッサンも興味本位で入ってきたりします。
俺が脱衣所で体をふいてる時も、ガラッと戸を全開にした状態で中をのぞきこむオッサンが。
そんなことしたら、外に俺の裸が丸見えやん。
隠すと俺が負けたみたいでイヤなので、そのまま何事もなかったように体をふいてましたけどね。
どっちにしても、外から見られてたらマヌケな光景です。

風呂上がりのサッパリした状態で、霊場 恐山を散策。
体をキレイにしてからお参りできるというのは素晴らしい。


写真の順番がムチャクチャなんですけど・・・・・。
↑は総門の外から見える巨大なお地蔵さん。
こんなカンジの見たことないような物がいっぱいあります。


犬も来てました。
裸では中に入れてもらえないのか、ちゃんとトレーナーみたいな服を来てました。
緊張のせいか、ずっとフガフガいってました。

だいたい岩場になってます。
賽の河原っていうんですかね?
そこらじゅうに石が積まれていて、風車がさしてあったりします。

ガイドさんの話をちょこっと盗み聞きしたんやけど、
たしか子供の頃(7才まで?)に死ぬと、それは親不孝という一種の『罪』になり、
その償いにココで石を積み塔をつくるというような信仰があるらしい。
早死にが『罪』なんて残酷な話ですが、逆に言えば「命を大事にしなさいよ」ということかな。
などと物思いに耽る横を、犬がフガフガ言いながら通りすぎる・・・・。

おそらく、温泉というか火山ガスみたいなモノが作り出した景色やと思うけど、
そこらじゅうから湯気が吹き出してたり、「○○地獄」と名付けられた場所が点在してたり、
全体的に殺伐とした雰囲気です。

そんな中で、この宇曾利湖の浜辺には『極楽浜』と名付けられていて、
おそらく地獄と極楽を合わせた『あの世』をこの霊場 恐山は表現しているんでしょう。
この日はどんより曇り空やったけど、湖の透明度と青さは無気味なくらい非現実的な風景です。
温泉の成分が多量に流れ込んでいるせいやと思うけど、フツーの魚なんかは棲めないらしいッス。
ちっこいメダカみたいなのは泳いでたけどね。
それと、サイズの問題かもしれんけど波もまったくないしね。

今、フッと思ったんやけど、そうか、ココは極楽なんやね。
『楽園』をイメージしてるとあまりにも淋しい風景やけど、そういうのと種類がまったくちがうんでしょう。

バチがあたると思って写真は撮ってないけど、積み石の中には『○○家』と書いた石とか、
もっと本格的なお墓みたいなのも置いてありました。
マジックで自分で書いたと思われる石もあれば、ホントに表札として掲げてたようなものまで。
観光地のような心構えで来てしまったけど、もうちょっと仏教を勉強してから来たほうがよかったかな。
お堂などの建築物や石像、景色など全部にしっかり意味があり、信仰の対象になってるんやね。


温泉に入ったりウロウロしてると、所要時間は1時間くらいですかね。
イタコのいる詰め所みたいな小屋もありましたが、実際に口寄せをやってたのかどうかはわかりません。
ここだけの話、イタコの口寄せってどうやろね?って思ってたんやけどね。
あの雰囲気の中で体験すると、そういう疑問は持たんのでしょう。
それはもう恐山に行かないとわからんのです、あの空気は。

行ってよかったと思います、霊場 恐山。
もう一度行ってみたいとは思いませんけどね、今は。
いろんな意味で"恐い"場所やったしね。
行ってよかったけど、もう行きたくない場所。
そんなトコって、他にありますか?



↑風呂上がりにアイスを食べるオッチャン。
入山料500円やけど、温泉の入浴料込みって考えたら安いッスよね。